2012年12月14日金曜日

「21世紀はチャイナの時代」:劣化するチャイナ

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●本書は経済、軍事面で急拡大する不気味な中国の光と影をえぐり出すとともに、チャイナリスクを抑え、チャンスに変えていく処方箋が提示されている。


 「中国の劣化」が急速に進んでいるという。
 これまでパイの大きさを広げることでしのいできた経済の発展が鈍くなると、
 一気にその劣化が吹き出す危険性がとりざたされている。
 社会主義制度による国家資本主義という制度がこれまで経済を引っ張ってきたが、もはやピークにきている。
 とすると、社会主義と資本主義との矛盾が「劣化」という形で様々な社会の表面に浮かんでくる。
 汚職、コネ、1億人を越えるネズミ族、就職難に遭遇する大卒など、これまで見られなかった歪が社会不安を引き起こしてくる。
 「制度疲労」といってもいいかもしれないが、「体制劣化」の方がわかりやすいであろう。
 習近平の時代に中国は激動するだろう。
 前半の5年間は新体制という小手先期待で何とかもつが、期待が落胆に変わる後半の5年間には何が起こるかわからない。
 おそらく、今年、「反日デモ」が中国のピークではないだろうか。
 成長率が8%を切った今、外資も逃げはじめている。
 これから中国は迷走する可能性がある。
 それを隠すために、ポンコツ空母を高らかに歌い上げ、軍事力の補強に走っているが、
 客観的にみると血迷っている風に感じられる
 残念なことに
 「劣化中国を救う手段を当局が持っていない」
というのが、一番の悲劇である。
 今後は、劣化する中国への警鐘本が巷をにぎわすことが多くなるだろう。


レコードチャイナ 配信日時:2012年12月14日 7時27分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67431&type=0

<書評>日本のマスコミが伝えない「異形大国」の真実―
八牧浩行著「中国危機 チャイナリスクに備えよ」

 驚異的な経済成長が続き
 「21世紀はチャイナの時代」
とも言われる中国。
 GNPで日本を追い抜き、やがて米国をも凌駕する勢いだ。
 大都市にはビルが林立し、活気に満ちている。
 しかしその陰で格差拡大、共産党幹部の汚職腐敗、道徳観の低下など多くの「ひずみ」が噴出。
 大気・水質汚染、食品安全問題、交通事故、労働災害、格差、物価高、就職難など「負の遺産」も半端ではない。
 二ケタ成長が続いた経済も、賃金上昇、公共投資偏重など構造的な壁に直面している。

 本著は経済、軍事面で急拡大する不気味な「大国」の光と影をえぐり出し、政治、経済、社会、外交、軍事など多岐にわたり真の姿に迫る。
 この複雑怪奇な国のリスクをあぶり出し、
 「いかにリスクを回避するかが、日本にとって重要な課題となる」
と著者は主張。
 日本人「個人」として、日本の「企業」として、日本の「国家」として、「チャイナリスク」を抑え、「チャイナチャンス」に変えていく処方箋も提示されている。

 隣り合う世界第2、第3の経済大国は、偏狭なナショナリズムを排除し、地域の平和と繁栄を実現するという大局に立つ必要があるとのアピールは読者の共感を呼ぼう。
 
 日本と中国2国間の貿易額は年間3400億ドル(約28兆円)余りに達し、日中国交正常化時の1972年の10億ドルの340倍に増えた。
 両国は互いに重要な経済・貿易のパートナーであり、中国は日本にとって最大の輸出市場となっている。
 中国には日本企業2万2千社が進出。
 日本企業の海外現地法人全体の売上高に占める中国現法の割合は19%と、10年前の8%から急速に高まった。

 こうした中、中国では「尖閣諸島国有化」を理由とした日本製品不買運動が広がり、自動車、家電を中心に売り上げが激減。
 さらに中国人観光客が大きく減り、ホテル、デパート、家電販売店、航空会社など日本の観光産業は大打撃を被っている。
 一方、中国にとっても日系企業で働く約1千万人に上る労働者の雇用にも響く。

 日中間の喉元に刺さったトゲである「尖閣諸島問題」の真相と解決策を様々な角度から追求。
 尖閣諸島問題に関する「日中の棚上げ合意」の真相など新たに発掘した事実や解決に向けた秘策も随所に散りばめられている。
 未知の習近平新体制と日中関係の今後のゆくえを読み解くヒントも満載。
 日本のマスコミが伝えない異形の大国の真実が活写されており、反中派、親中派双方にとって一読に値する書といえよう。

 著者は世界と日本を取材し続け、時事通信編集局長を務めたジャーナリスト。
 本書でも徹底的な現場主義が貫かれている。

<本書の目次>

はじめに―不可解で不愉快な大国チャイナにどう向き合うか? 
序章 尖閣攻防エスカレートで日中戦争勃発か!?
第1章、尖閣問題を有利に運ぶ“秘策”
第2章、不気味に力を蓄える人民解放軍
第3章、政権交代で経済的困難を乗り越えられるのか?
第4章、格差社会の不満が爆発! 人民の反乱が始まる 
第5章、中国ビジネス投資の“三大リスク”を乗り超えろ
第6章、チャンスのカギを握るのは“チャイナリッチ”と “健康市場”
第7章、日本は繁栄に向かうか? 衰退に向かうか?
おわりに―尖閣問題を超えた友好関係を

<あさ出版刊、四六判、246ページ、1470円>
』 




ニューズウイーク 2012年12月12日(水)16時24分 
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2012/12/post-2795.php

India's Growth to Surpass China's by 2030 ジェーソン・オーバードーフ

「中印経済がアメリカを抜く」の信憑性
20年後には中国とインドが欧米や日本に代わって世界経済の主役になるという分析は正しいのか

 20年以内に中国経済の規模はアメリカ経済を上回り、インド経済はそれ以上のスピードで成長する――12月10日、アメリカの情報機関がそんな報告書を出した。

 「中国の経済成長率が減速する一方で、インドは加速する」
と、米国家情報会議(NIC)の報告書は分析する。
 「2030年にインドは、現在の中国のような成長著しい経済大国になっている可能性がある。
 その頃、8〜10%という現在の中国の経済成長率は、遠い昔の記憶になっているだろう」

 さらに報告書は、2030年にはアジア全体の経済規模は、北米とヨーロッパを足したものを上回るとする。
 ヨーロッパや日本、ロシアなどの経済の規模は
 「相対的にゆっくりと縮小していく」
という。

 一方、中国の経済的な影響力が強まっても、アメリカは超大国の地位を維持すると報告書は予測する。
 地球規模の問題に対するときには、アメリカだけが世界的な協力体制を取りまとめ、リーダーシップを発揮することができるからだ。

 「地球的な規模で考えたとき、中国がアメリカの立場にとって代わることはないだろう」
と、NICのマシュー・バローズ委員は会見で語った。
 「世界最大の経済を持つことは重要だが、最大の経済大国が、必ずしも超大国であるとは限らない」

 だが、モルガン・スタンレーの新興市場部門責任者で、新著『ブレークアウト・ネーションズ』を発刊したルチル・シャルマを信じるなら、
 こうした予測は話半分に聞いておかなければならない。

 シャルマが10日、インド紙「エコノミック・タイムズ」に寄せた論説を紹介しよう。


 新興国の中で急速な成長を10年間続けられるのは3分の1程度の国々で、20年30年と成長を続けることはさらに難しい。
 これは歴史が証明している。
 急成長が続けば続くほど、それが終わりを迎える可能性は高くなる。
 多くの人々は長期的には新興国が豊かな国々に「追いつく」と考えているが、そうはならない。
 新興国の人々の平均的な収入は、豊かな国々の1950年当時の収入と同じくらいだ。

 インドは2000年代に力強い成長を遂げたが、それはつまり今後も過去10年と同じような成長が続く可能性が低くなったということだ。
 それに、すでに成長は減速している。


From GlobalPost.com特約