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サーチナニュース 2012/12/10(月) 09:18
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1210&f=politics_1210_001.shtml
「香港独立」を警戒、共産党大会の報告で物議=香港ポスト
中国共産党第18回全国代表大会(18大)で胡錦涛・前総書記(国家主席)が行った報告では、「香港独立」の動きを警戒する姿勢がうかがえ注目されている。
香港では不動産高騰、越境出産、並行輸入活動など中国本土住民の往来増加によるマイナス影響が目立つようになり、本土住民に対する反感や本土との融合を拒絶する傾向が高まっている。
■中央による引き締め懸念
胡主席が11月8日に発表した報告では香港・マカオに関する部分は460字に及び、2007年の17大での報告より約25%増えた。
1国2制度については
「中央政府が香港・マカオに対し実施する各政策は国家の主権、安全、発展利益の擁護を根本とする」
と国家主権の主張が17大より具体的になった。
「香港・マカオ同胞の団結を促進し、外部勢力による干渉を防ぎ、抑制する」と述べた点は17大の「外部勢力による干渉に断固反対する」
より強い表現となっている。
この背景には昨今の香港の社会傾向に対する憂慮があるとみられる。
年初から見られている本土住民との衝突、国民教育の反対運動激化、新界東北部のニュータウン開発で本土との融合反対が叫ばれるなど、本土への反発や香港人の生活様式と価値観を守ろうとする意識が高まっている。
加えて世論調査では香港市民の国家に対する帰属意識の低さが表れている。
香港中文大学伝播・民意調査センターが11月に発表した調査結果では、
自分の身分を「中国人」と答えた人は12.6%。
1997年の32.1%から大幅に低下、調査を始めた96年以降で最低となった。
一方で「香港人」と「香港人、ただし中国人でもある」を合わせた香港人の身分を優先する割合は65.2%に達し、過去16年で最高となった。
さらに最近のデモや集会で英国統治時代の植民地旗を掲げた参加者が見掛けられることが中央を刺激したともいわれている。
国務院香港マカオ弁公室の陳佐〓・前副主任は10月24日、人民網で行ったネットユーザーとの交流で
「あのユニオンジャックは博物館に置くべきで、街頭で掲げるべきでない」
と述べ、香港独立勢力が台頭しており警戒すべきと指摘した。
同弁公室の魯平・元主任も香港独立を主張する者を批判した論説を10月12日付『サウスチャイナ・モーニングポスト』に寄稿している。(〓はさんずいに耳)
胡主席の報告は果たして「香港独立」の動きをけん制するものかとの問いに対し、特区政府中央政策組の首席顧問を務めた劉兆佳氏(全国政協委員)は11月10日の無線電視(TVB)の番組でこう解説した。
「中央は香港独立や地場団体の運動は気にしていないが、外国勢力が香港で中央に不利な活動を行うことを懸念している」。
最大の懸念は西側諸国が資金援助する一部団体が中国本土と海外の反中央勢力を連携させていることだという。
その後、18大に関連して国務院香港マカオ弁公室の張暁明・副主任が11月22日付『文匯報』に寄せた論説も物議を醸した。
これは18大報告の解説書にも収められており、マカオが09年に「国家安全擁護法」を制定したのを挙げ、香港も適当な時機に23条に基づく立法を完了すべきと言及。
外部勢力が反体制勢力を育成し、選挙に介入していることなども批判した。
民主派議員はこれを梁振英・行政長官が中央から託された4大任務を証明するものとして、対香港政策を引き締めていると指摘した。
張副主任は18大の人事で中央候補委員入りした。
国務院香港マカオ弁公室と中央人民政府駐香港特区連絡弁公室(中連弁)の主任は少なくとも中央候補委員であることが慣例であるため、張副主任は中連弁主任として香港に派遣される可能性もあるとみられ、その言動が注視されている。
梁長官は10月17日、行政会議(閣議に相当)の新たな非官僚メンバーとして新民党の葉劉淑儀(レジーナ・イップ)主席が加わると発表した。
特区政府保安局長を務めていた葉劉氏は03年に23条を推進した経験を持ち、民主派議員は葉劉氏の起用を23条の立法作業を進める布石とみている。
■中央の対香港政策 張徳江氏が主管の見込み
中国共産党総書記に就任した習近平・国家副主席に代わって対香港政策を主管するのが誰になるか注目されているが、中央政治局常務委員に就任した張徳江・副首相が有力候補に浮上している。
11月29日付『星島日報』によると、これは同紙が中央高官から得た情報で、張氏が対香港政策を統括する中央港澳工作協調小組の組長を務め、現在副組長を務める劉延東氏が留任するほか、国家副主席となる見込みの李源潮氏も副組長となるもようだ。
張氏は来年3月に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)委員長に就任する見込みだ。
全人代常務委員会は香港基本法の解釈権を持ち、全人代は改正権を持つことから、その委員長が対香港政策を主管すれば基本法をめぐる問題処理に都合がいいためとみられている。
香港では今後、17年の行政長官選挙と20年の立法会議員選挙で全面的な普通選挙を実現するため政治体制改革が行われる。
この過程で基本法解釈などがかかわってくる可能性が高いからだ。
特区政府政制及内地事務局の譚志源・局長は12月3日に北京に赴き香港マカオ弁公室副主任と会談したが、政治体制改革について具体的には触れなかったという。
譚局長は過去の経緯から政治体制改革が容易でないことを認めながらも、全人代常務委が07年に決定したスケジュールに沿って普通選挙を実現すると述べている。
また張徳江氏といえば02~07年に広東省党委書記を務め、広東省をはじめとする本土9省・自治区と香港・マカオからなる汎珠江デルタ地域協力を推進したことで知られる。
近年は報道も下火になっていた汎珠江デルタだが、張氏が政治局常務委員となったことで再び注目され始めた。
梁長官は11月30日、海南省で開催された第8回汎珠江デルタ地域協力・発展フォーラムに出席。
第6回以降は政制及内地事務局局長が行政長官代理として出席していたが、今回は梁長官が自ら赴いた。
第12次5カ年計画によるサービス産業の促進を契機に香港企業の本土進出を後押しする狙いがある。
梁長官は「貧困、住宅、高齢化などの深層的な問題を解決するためには持続的で高い経済成長が必要」と語っている。
これら問題を解決しない限り、基本法23条の立法や政治体制改革の推進も困難に違いない。
(執筆者:香港ポスト )
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