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●2012年12月7日、インドのシンクタンク・SAAGの軍事専門家サブハッシュ・カピラ氏は「中国は冷戦期の米国の対ソ戦略を模倣して、日本を軍拡競争に引き入れようとするが、最終的には孤立する」と主張する記事を発表した。写真は遠洋訓練を行う中国海軍。
国際情勢を冷静に論じる人が出てきたようである。
これまでの中国の経済賞賛一辺倒から、グローバルな見地から世界のパワーバランスを眺めあっれるようになったということは、中国の動きと日本の動き、そしてロシアと周辺アジアの動きが方向性を持ってきたということである。
これから、中国の軍事拡大に対して世界がどのように対処していくか、だいたいの道筋が読めてくる。
これまで、こういう視点でものが見られなかったのは、世界不況の中、その救済を中国に求めてきたためである。
それによって言いたいことも言えない状況にあった。
おそらく、今後は世界は冷静に中国の動きを見定めながら、ことを判断していくことになるだろう。
『
レコードチャイナ 配信日時:2012年12月13日 5時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67368&type=0
日本を軍拡競争に誘う中国は国際社会で孤立する
=「冷戦期米国の対ソ戦略を模倣」―インド軍事専門家
2012年12月7日、インドのシンクタンク「サウスアジア・アナライシス・グループ」(SAAG)の軍事専門家サブハッシュ・カピラ氏は7日、
「中国は冷戦期の米国の対ソ戦略を模倣して、
日本を軍拡競争に引き入れて経済力を削ぎ、東アジアでの戦略的ライバルとしての地位から追い落とそうとしている」
とする記事を発表した。10日付で東方網が報じた。
カピラ氏は
「中国の戦略は経済、政治、戦略的にも議論が分かれるところで、最終的には国際的に孤立するだろう」
と述べている。
同氏はこう述べる。
中国と日本は政治と戦略の十字路に立っており、直接の軍事的応酬は行わないとしても、激しい軍拡競争は避けられない。
過去5年間、中国による挑発的行動が、日本の中国に対する脅威を強めることとなった。
中国は日本を軍拡競争に引き込もうとしているが、それは冷戦期の米国とソ連の軍拡競争によく似ている。
日本の経済力を削ぎ、
東アジアでの戦略的ライバルとしての能力を失わせることが目的だ。
その脅威に対し、日本は軍備を強化し、中国による政治的、軍事的圧力に対抗しようとしている。
海上自衛隊が1万9000トンのヘリ空母を導入したのがその何よりの証拠だ。
これは駆逐艦(護衛艦)などと呼べるものではなく、能力的にも効力的にも、日本のヘリ空母はすべて小型空母であるといえる。
日本は同型のヘリ空母2隻や、戦艦、潜水艦を建造している。
不安定な東アジア情勢の中、外界が解き明かすべき問題は3つある。
● 1つめは、日本に対する中国の戦略的目標。
● 2つめは、中国が最終目標を遂げるための戦略。
● 3つめは、日本が戦略的に屈服することを中国が確信しているかどうか
である。
中国の最終的目的は、戦略上に日本の実力を削ぐことにある。
まず、最も重要な一手として、日米安保条約の信頼性を揺らがせる。
そして、戦略的ライバルとしての日本の地位を喪失させる。
最後に、日中の軍拡競争を引き起こし、日本経済を崩壊させる。
■尖閣問題にみられる米国の矛盾した心理は、日本の対中戦略策定を惑わせる可能性がある。
そして、中国が政治的、軍事的に日本を抑圧することに対する米国の反応を弱めれば、日本は他の選択肢を求めることになり、いずれにせよ中国の有利にはたらく。
戦略的地位の下降により、日本は東アジアにおいて中国のライバルたり得なくなる。
日中には軍事的に均衡ではなく、日本は軍事力の不足を日米関係で補っている。
だが、軍拡競争によって日本を破綻に追い込むことができるか、経済、政治的、戦略的にも疑わしい点が多い。
■経済について、日本経済の成長率は中国に及ばないが、日本経済は依然として活力を持ち、衝突が起こったとしても中国経済のように脆くはない。
政治的には、日本は東アジアの安全を担う一員であるとされ、米国のみならずEUやNATOの全面的支持を取り付けている。
一方、中国のアジアにおける盟友は北朝鮮とパキスタンの二国のみである。
戦略上的に、
日本が中国と同等のライバルであり続けることは、米国やEU、NATOの利益に合致し、豪州やインドも日本に手を貸す意思を見せている。
■最後に、日本が戦略的に屈服することを中国が確信しているか、または中国は戦略的に日本を見下しているかどうかを論じたい。
問題は2つに分けられる。
1.まず、日本の歴史や潜在的なナショナリズムがそれを良しとするかどうか。
2.そして、国際社会および米国が、日本が中国に屈服することを認めるかどうかだ。
■最初の問題について、日本の民族性と伝統がそれを許すことはない。
後者について、
自信を強める中国に対し、国際社会は日本が中国と同等のライバルであることを望むだろう。
ロシアですらそうであると断言しても良い。
中国が日本を軍拡競争に引きこもうとしていることは間違いない。
だが、行き着く先は、中国の国際社会における政治的、経済的な孤立なのである。
』
世界は常にパワーバランスで動いている。
中国の突出は長い地的境界線をもつロシアを刺激する。
ロシアは日本は中国の海軍を抑えよ、ロシアは陸軍を抑える、という心づもりがある。
中国が勢力を増せばますほどロシアは日本によってくることになる。
もちろんロシアの外交は一流で、決して下手では動かない。
しかし、中国はロシアにとって厄介な問題であることは確かである。
そして、反アメリカということで中ロが意見の一致をみることはあっても、ロシア自身は自らをヨーロッパと認んじている。
よって、最終的にロシアと中国が手を組むことはない。
インドは当然のこととして中国との地域紛争を抱えているので中国の台頭を快く思っていない。
インドのシステムはイギリス式である。
つまり形は世界に通用する民主主義である。
これをうまく使いきれていないのがインドの悩みである。
しかし、もし中国がインドの最強の壁として向かってきたらどうなるうか。
対中国でインドは経済的邁進を加速させるきっかけにしたいところであろう。
アメリカはどうか。
アメリカの外交はさらに一流。
ジワジワと周囲を見ながら、流れを見ながら棹をさしていく。
でもアメリカの考えは非常に単純。
「アメリカは世界のチャンプ」である、ということ。
世界のチャンプであるための戦略でことが動いていく。
そう見ていけば、だいたいわかる。
周辺国はこの4国の動きに準じて身を定めていくことになる。
なぜ、中国が日本を刺激し続けるのかということは
「日本を軍拡競争に引きずり込む」
という、中国の戦略だという。
たしかに、そう見えないこともない。
通常なら民主党のほうが穏健なのに、あえてそれを引き下ろして自民党やさらに強硬な維新の会などを表舞台に立たせようとしている。
通常の外交ではありえないことである。
そうみると、確かになるほどと思う。
日本を軍拡戦争に引き込むということは、相当長期的展望が中国にあるということになる。
つまり、日中対立を長いスパンで見るということになる。
軍拡で経済が破綻するには最低でも数年はかかることになる。
冷戦時代のソビエトと、今の日本が同列に置かれているということになる。
冷戦時代のアメリカが今の中国ということになる。
これ、成功する可能性のあることなのだろうか。
逆ではないだろうか。
軍拡競争を仕掛けたアメリカは安定していたが、今の中国は極めて不安定である。
ソビエトは不安定であったが、ナンバー3に落ちても首相がころころ変わってもシステムにほとんど影響しないほどに日本の政治は安定している。
日本は充分、先進国の地位を築いている。
中国と比較すると10倍以上は豊かである。
そんな客観的状況の中で、日本を軍拡競争に引きずり込んで、破綻を導きだそうなどと考えられるものなのであろうか。
ただ、対中国という国を補強するだけではないのだろうか。
中国が日本をターゲットに軍拡を実行していけば、最終的に共産党より解放軍の力のほうが強くなってくる。
ということは、解放軍を握った軍閥と、共産党を握った政治閥との騒乱が起きる可能性もある。
共産党は、解放軍とは別に国内向けに公安機関をもっている。
この予算は解放軍の予算と同等である。
つまり、中国には2つの暴力組織が拮抗して置かれていることになる。
共産党はこの2つのバランスをとることによって成立している。
もし、解放軍が共産党から独立したらどうなるのか。
実際、習近平は解放軍に
「共産党に忠誠を誓え」
と呼びかけている。
ということは、解放軍の独立化が少しづつではあるが進行していると見てもあながち見当違いではないように思える。
そんな不安定な状況で、日本を軍拡競争に巻き込んで日本を破滅させることができるなどと思っているのであろうか。
『
レコードチャイナ 配信日時:2012年12月14日 20時34分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67443&type=0
「他国と軍備の競争などあり得ない!」
武器増強は経済や技術発展への貢献が目的―中国軍装備部長
2012年12月13日、中国・北京市で、中国人民解放軍総装備部の張又侠(ジャン・ヨウシア)部長は、オーストラリア国防軍の司令官と会談した。
その際に張部長は、
「中国の武器装備増強は社会経済の許容範囲内で行い、他国と軍備の競争などはあり得ない」
と述べた。
中国新聞社が伝えた。
また張部長は、
「中国の武器装備増強は、国家の平和発展戦略に基づき、自主性を維持しイノベーションを向上。
これにより国家の経済や科学技術発展への貢献を方針としている」
と続けた。
このほか張部長は、
「近年中国とオーストラリア両軍は関係を深めており、今後も中国はオーストラリアと装備の管理やメンテナンスに関して交流を深めていきたいと考えている」と話し、オーストラリア側も、
「中国との軍事関係を重視し、合同演習や海賊取り締まりに関して協力を深めていきたい」
と語った。
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対外的批判のの中で表面上は軍拡競争はしていないという、儀礼的ポーズだろう。
ちょっと言い訳としては苦しいが。
ちょっと言い訳としては苦しいが。
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