●未来志向 オバマは再選後の初外遊先に東南アジアを選んだ
『
ロイター 2012年 11月 22日 15:59 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8AL04720121122
焦点:中国の膨張で東南アジアに亀裂、交錯する歓迎と警戒
[プノンペン/北京 21日 ロイター]
カンボジアのプノンペンで今週開催された東アジア首脳会議では、野田佳彦首相やオバマ米大統領を含む各国首脳が現地入りしたが、会場入り口に横断幕が掲げられるほどの歓迎を受けたのはただ1人だった。
そこには、「温家宝首相ようこそ」、「中華人民共和国万歳」と書かれていた。
各国首脳が去った後も横断幕は飾られたままだったが、それは、
中国が実力行使や資金力を通じ、地域での影響力を強めている
ことを想起させる光景だった。
中国はそうした影響力を使って味方を増やそうとする一方、
領有権問題で対立する当事国や、武力拡大に懸念を抱く周辺国の神経を逆なで
している。
東アジア首脳会議に出席した外交官の1人は
「いくつかの国はお金で簡単に踊らされる。
現金を見せられると原理原則をたやすく捨ててしまう」
と指摘。
「中国は影響力を乱用しており、一部のアジア国家の忠誠心を金で買っている」
と語った。
その最たる例はカンボジアだ。
今回の会議で議長を務めたフン・セン首相は、中国の外交的勝利を演出するのを手伝った。
中国は南シナ海の領有権問題では、解決に向けた協議を行き詰らせ、東南アジア諸国からの公式協議開始の申し出を拒み、オバマ大統領からの直接的な非難をかわした。
評論家たちからは、今回の首脳会議の明らかな勝者は中国だとの声が聞かれる。
フン・セン首相は、議長声明で南シナ海の問題については言及せず、領有権問題を争点化させないという中国の狙いを後押しした。
中国はここ数年、カンボジアへの投資や融資を加速しており、同国にとって最大の貿易相手国かつ2国間としては最大の債権国にもなった。
カンボジアの対中債務残高は47億ドル(約3900億円)超に膨らみ、
同国経済の約3分の1の規模となっている。
アナリストらは、こうした投融資の効果は今年になって実を結んだと指摘する。
カンボジアは東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国としての力を使い、中国と関係各国の間で過熱する領有権問題をめぐる議論をコントロール。
ASEANは親中国派と反中国派にはっきり色分けされる格好となった。
45年の歴史を持つASEANは全会一致を原則に成り立ってきたが、安全保障上の最大の脅威に直面し、その理念が揺らいでいる。
今年7月のASEAN外相会合では、過去に前例がないほど議論が紛糾し、南シナ海の項目に盛り込む文言にで合意できなかったため、共同声明の発表が初めて見送られた。
今回行われた会合も、
「南シナ海の領有権問題を国際化しないことで合意した」
との声明草案を議長国カンボジアが用意したため、議論は決裂寸前までもつれた。
親米国フィリピンがカンボジアに正式に抗議し、その文言は最終的な議長声明から削られた。
一方で中国は、「コンセンサスには至らなかった」というフィリピンの主張を笑いものにした。
同国外務省の秦剛報道官は、10人中8人が国際化しないことで合意したというのはコンセンサスがあったということだと主張。
「東アジア首脳会議の参加者は計算が得意に違いないと思う。
2対8ではどちらが大きいだろうか」
と皮肉った。
■<海軍増強>
中国政府は、南シナ海でU字型の領海線を主張しているが、
それはフィリピン、ベトナム、ブルネイ、マレーシアの沿岸ぎりぎりまで迫っている。
この海域には、原油やガスなど莫大な天然資源が手つかずで眠っていると考えられており、
中国とフィリピンやベトナムの艦艇の間では一触即発の状況が常態化しつつある。
向こう2年のASEAN議長国が小国ブルネイとミャンマーであることを考えると、中国と関係各国が抱える問題の外交的解決はあまり期待できそうにない。
メコン川流域に位置するカンボジア、ラオス、ミャンマーは、貿易や投資での結び付き強化を通じ、中国の経済圏に急速に取り込まれつつある。
温家宝首相が東アジア首脳会議で現地入りした当日には、カンボジア最大のセメント工場建設に中国が1億ドルを融資することが発表された。
中国政府高官がカンボジアを訪問する際のこうした「お土産」は慣例的になっている。
中国は東南アジア各国との自由貿易協定の締結に向けて機敏な動きを見せており、
ラオス、カンボジア、ミャンマーでのインフラ建設プロジェクトでも大きな役割を演じている。
東アジア首脳会議の終了後、温首相はタイを訪問。
バンコクでインラック首相と会談し、タイからのコメ輸入拡大などで合意した。
タイは米国の同盟国の1つだが、政府は農家の所得向上のためのコメ輸出拡大を進めており、今回の合意で中国との関係も大幅に強化されるのは間違いないだろう。
こうした外交努力が行き詰った場合、中国は東南アジア全体の軍事費をしのぐ予算を費やした軍事力を背景に、必要に応じて実力行使に訴える場面も増えてくるとみられる。
胡錦濤国家主席は先に行われた共産党第18回党大会での政治報告で、同国の海洋権益を断固として守ると言明。
「われわれは、海洋資源の開発能力を高め、中国の海洋権益を断固として守り、中国を海洋国家としてつくり上げるべきだ」
と強調した。
中国は南シナ海だけでなく、東シナ海では尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐって日本とも対立している。
中国には、成長を続ける経済を支える海洋天然資源開発を促進したいとの思惑があるが、同時に、外交政策を中東重視からアジア重視に切り替えた米国に「包囲」されるのを警戒もしている。
中国外務省のシンクタンク、中国国際問題研究所の阮宗沢副所長は
「どんな説明を使おうと、米国が過去3年にわたって西太平洋に一層重点を置いているのが現実だ。
それが中国にとっての懸案だ」
と述べた。
中国海軍は今年9月、同国初の空母を海軍部隊に正式配備し、「海軍作戦能力が増強された」と強調。
中国はまた、今年に入って2種類のステルス戦闘機の試験飛行も実施している。
先月行われた試験で使われた機体は小型化によって機動性が高まっており、空母艦載機として開発中とみられている。
豪シドニーのローウィー国際政策研究所のアジア安全保障問題専門家、サム・ロゲビーン氏は
「中国には海軍力で域内1位になるという野望があり、アジア太平洋での米国の優位性には深刻な脅威だ」
と指摘。
もし中国が空母2隻以上を配備し、高性能ステルス戦闘機を艦載すれば
「アジアでは突出した海軍力になるだろう」
と語っている。
(原文執筆:Stuart Grudgings and Terril Yue Jones、翻訳:宮井伸明、編集:梅川崇)
』
『
International Business Times 2012年11月22日 11時00分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/37527/20121122/1353549600.htm
脱中国依存を図るミャンマー市場の魅力
先日、現職の米大統領として初めてオバマ大統領が訪問し、民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー氏と会談したことで一躍注目を集めたミャンマー。
このミャンマーは現在、長年続いた欧米による経済制裁が緩和されたことで投資環境が整い始めており、
生産拠点としてだけではなく、人口約6200万人を擁する新たな市場
としても今後の急成長が期待されている。
こうした中、帝国データバンクが、2012年10月31日時点でミャンマー進出が判明している日本企業を抽出し、社数推移、業種別、年商規模別などに分析した結果を発表した。
欧米諸国の対ミャンマー経済制裁下でも、日本からの投資は他国に比べると多く、ジェトロのデータによると、大型水力発電所や原油・天然ガスパイプラインの建設などの投資が続いたことで2010年度の投資は前年度の約2.3倍に達している。
帝国データバンクの調査によると、この2010年にミャンマーに進出していた日本企業は52社であった。
しかし、2012年10月31日時点では91社となっており、2年前と比べて75.0%の大幅増加、約1.8倍の急増となっている。
なお業種別では「卸売業」が34社(37.4%)でトップとなっており、鉄鋼・同加工品卸の岡谷鋼機や、各種商品卸の兼松などが進出している。
また、「運輸・通信業」(10社)は2年前に比べて3.3倍に増加。
年商規模別では「1000億円以上」が22社(25.6%)でトップであるが、小規模企業の進出も見られるという。
ミャンマーにて新政権が誕生してから一年半程であるから、新政権となって以降は情勢や政治が安定しており、市場への期待度が高まっていることを裏付ける数字といえるのではないだろうか。
天然ガスやレアアースなど豊富な資源を有している上に、未開拓な市場であることは、先進国にとっては非常に魅力的なものである。
軍事政権下のミャンマーは、中国が最大の貿易相手国であったことなどから、現在でも、切っても切れない関係にある。
しかし新政権となって以降は、
中国の過剰依存を警戒し「距離感」も意識し始めている
というから、今が投資の最大の好機といえるかもしれない。
ミャンマーを走る自動車の90%が日本車であるというから、ミャンマーには日本企業を受け入れる土壌があると言えるであろう。
インドやタイと隣接している地理的優位性もあり、ポスト中国として今後最も注目を集める地域となるのかもしれない。
』
『
ニューズウイーク 2012年11月20日(火)17時32分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/11/post-2771.php
オバマが訪ねたもう一つの人権侵害国家
ミャンマー訪問と同じく、カンボジアの深い傷跡と人権弾圧の今に向き合った意味も大きい
Myanmar Isn't Alone
大統領選の勝利後、初の外遊として東南アジアを駆け足でめぐったバラク・オバマ米大統領。
19日には現職のアメリカ大統領として初めてミャンマー(ビルマ)を訪れ、テイン・セイン大統領や民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チー議員と会談した。
人権弾圧などを理由に最近まで経済制裁の対象だったミャンマーへの歴史的訪問がニュースをにぎわせたが、その後オバマが東アジアサミット(EAS)とASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に出席するためにカンボジアを訪れたことも、それと同じくらい重要な意味がある。
オバマはカンボジアを訪れた初のアメリカ大統領だ。
かつてアメリカが隣国ベトナムで起こした戦争がカンボジアにもたらした犠牲の大きさを考えれば遅過ぎた感は拭えない。
ベトナム戦争終結から40年近くたつが、カンボジアでは今も、地雷や不発弾による負傷事故の発生率が世界で最高レベルにある。
同時にオバマのカンボジア訪問は、ミャンマーと同じ人権と民主化上の課題を浮かび上がらせた。
AP通信によれば、元軍人のカンボジアのフン・セン首相は、
「アジアで最も権謀術数にたけた政治家の1人」
とされている。
フン・センが首相に就いているこの数十年、法的に正当と認められない殺人や、司法に対する政治的干渉がたびたび指摘されている。
■緊張に満ちたフン・センとの対談
首都プノンペンの人々はオバマ来訪を機に、アメリカからカンボジアの指導者に政策を変えるよう圧力をかけてほしいと訴えている。
強制立ち退きを迫られている空港近くの住民は
「自宅の屋根にSOSの文字をスプレーで書き、オバマ米大統領の写真を張り付けている」
と、カンボジア・デイリーニュースは伝えた。
カンボジアの野党指導者でフランス亡命中のサム・レンシーは、今月に入ってニュースサイト「グローバルポスト」が行った電話インタビューで、オバマの訪問が事実上、「フン・セン氏の政権による人権侵害」の承認にならないよう、アメリカの政治家に要請していると語っていた。
カンボジアの年間予算の約半分が外国からの援助金だ。
そこには、アメリカの納税者が収めた数千万ドルも含まれる。
「アメリカは非常に重要な役割を担っていると思う。
だから私は、オバマ大統領の訪問で何らかの変化があるのではないかと楽しみにしている」
と、サム・レンシーは述べた。
「オバマ大統領がカンボジアに行き、独裁主義の動きを見て見ぬふりするとは思わない」
実際、オバマとフン・センの会談は緊張に満ちたものだったらしい。
オバマは政治囚釈放や公正な選挙の実施を求め、人権侵害や政府による土地の強制収容をやめるよう圧力をかけたという。
これをきっかけにカンボジアでもミャンマーのような改革が進むだろうか。
From GlobalPost.com特約
』
中国の言い分は。
『
レコードチャイナ 配信日時:2012年11月22日 18時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66732&type=0
東アジア協力、日増しに成熟へと向かう―中国メディア
2012年11月20日、カンボジアの首都プノンペンでASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議が閉幕した。
東アジア協力が日増しに成熟へと向かっている中、中国はこれまでと同様に、各国と共に協力を推し進め、ウィンウィンを実現することだろう。
首脳会議は発展に焦点を合わせ、共通認識を固め、手を携えて試練に対処するという明確なシグナルを発した。
世界金融危機の深いレベルでの影響が引き続き顕在化する中、今回の会議は多くの建設的な協力提案を打ち出し、安定を求め、協力を図り、発展を促すという各国共通の願いを具体化して、東アジア協力が日増しに成熟へと向かっていることをはっきりと示した。
会議での成果と共通認識は大いに注目される。
中国・ASEAN協力はその内包と外延を拡大、深化し続けている。
今回の会議で中国は経済貿易、ネットワーク連結、科学技術、社会、人、文化面で対ASEAN協力の一層の強化を提唱し、ASEANから前向きな反応を得た。
また、日中韓は自由貿易協定(FTA)交渉の開始を発表。中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドとASEANは域内包括的経済連携(RCEP)交渉を開始し、地域の自由貿易圏構築は重要な一歩を踏み出し、今回の会議のハイライトとなった。
ASEANプラス3(日中韓)は域内のネットワーク連結の強化で新たな措置を打ち出した。
これは東アジア各国間の人、物、情報の流れの一層の加速と円滑性を促し、域内各国の経済・社会発展に確かな恩恵をもたらす。
東アジア首脳会議は開発というテーマを際立たせ、「均衡的で、あまねく広がる、持続可能な」開発を提唱する「プノンペン開発宣言」を採択した。
これは各国が開発のノウハウを共有し、参考にし、マクロ政策の調整を強化し、地域格差を調整し、域内経済統合を加速するのに役立つ。
中国は引き続き責任ある大国としての役割を発揮する。
今回の会議は中国共産党の第18回党大会閉幕後に中国の指導者が参加した重大な外交活動であり、中国の政策の方向性に大きな関心が集まった。
温家宝(ウェン・ジアバオ)首相は一貫した実務的スタイルで、域内協力の一層の推進について一連の提案を行った。
各国首脳は東アジア協力への中国の貢献を積極的に評価し、中国の一挙手一投足が全局面に影響を及ぼすと考えている。
個々の溝は域内協力の歩みを妨げてはいない。
南シナ海問題は長いこと続いているが、地域の安定と発展はその間影響を受けていない。
近年、少数の国が自国のみの利益のために南シナ海問題を再三煽り立て、誇張しており、今回の会議でもいくつかの雑音があった。
しかし、雑音を鳴らすことは各国に支持されない。
大多数の国々は、溝を際立たせ、問題を激化させることはどの国にとっても不利であり、溝をコントロールし、意思疎通を強化し、協力を共に図ることこそが各国共通の利益であるとの認識をどんどん深めている。
中国とASEAN諸国は会期中に「『南シナ海における関係国の行動宣言』調印10周年記念共同声明」を発表し、南シナ海の平和と安定の促進という共通の約束を再確認した。
中国の発展・繁栄は東アジア地域の発展・繁栄と緊密に関連している。
中国は長年、東アジア地域協力に積極的に参画し、推し進め、建設的役割を発揮してきた。
アジアは現在もなお世界の経済成長の重要なエンジンだが、外部環境悪化の影響を受け、経済の下押し圧力も増大している。
試練を前に、各国はなおさらに強みを発掘し、手を携えて協力し、外部の経済リスクを共同で防ぎ止める能力を強化する必要がある。
中国はこれまでと同様に、各国と共に協力を推し進め、ウィンウィンを実現。東アジア協力にはさらに大きな展望が開けることだろう。
(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/内山)
』
_