2012年11月19日月曜日

日本車メーカー、中国からの撤退に「未練なし」:危機にうまく立ち回る民族系各社

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●16日、中国と日本の合弁企業・東風日産は、日本製品ボイコットの対象から逃れるために、「東風日産は中国企業であり、中国に納税している」と主張。写真は今年4月、モーターショーに出店した東風日産。


レコードチャイナ 配信日時:2012年11月19日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66574&type=0

<分析>日本車メーカー、中国からの撤退に「未練なし」―英メディア

2012年11月16日、英紙フィナンシャル・タイムズ(中国語電子版)は、スイス大手銀行UBSのアジア自動車産業研究主管兼中国研究主管・侯延[王昆](ホウ・イエンクン)氏の論説
「日本車企業の進退」
を掲載した。
以下はその要約。

尖閣問題をめぐり中国各地で大規模な反日デモが発生した9月以来、中国での日本車の販売は大きく落ち込んでいる。
10月の販売状況を見ても下降状態は回復するどころか、さらに悪化しており、この状況は日中関係が改善しないかぎり今後も続くと思われる。
そのため、世間では「日本車メーカーは意気消沈している」といった見方が一般的だが、私はそうは思わない。
日本企業の危機管理能力には頭が下がるし、危機に際してうまく立ち回ることにより、優秀な企業は長期的に素晴らしい製品を生産することができるのだ。

日本車は08年の中国国内シェア30%をピークに下降を続け、今年8カ月の市場シェアは22%にまで下がった。 
日本車メーカーの多くは、同じく日本車の日産やフォルクス・ワーゲン、ゼネラル・モーターズのように生産の拡大や、中国人消費者の好みに迎合した新型車の開発などを行っておらず、これがシェア低下の原因になっている。
日本の自動車メーカー7社のうち、日産を除く6社の中国戦略は積極的とは言い難いものだった。

特にトヨタ、ホンダ、スズキの中国における企業戦略は保守的そのものだった。
なぜなら、これらの企業は合弁相手の中国企業に対しても、
中国市場の持続的発展性について常に不信感を抱いているからだ。

日産は日本企業といっても実際は日本企業ではない。
 仏ルノーが株式の36.8%を掌握しており、ルノー会長兼CEOのカルロス・ゴーン氏が社長に就任して10年になる国際企業だ。
このため、日産の中国戦略は他の日本車メーカーに比べて非常に積極的であり、現地生産、現地販売をモットーにしている。

トヨタ、ホンダ、スズキの3社は中国企業との合弁に際して、対等の立場を求められるのを嫌った。
しかし中国市場での成功を手に入れたい3社は、この市場に対して常に「つかず離れず」の関係を維持していたのである。
さらに中国政府の規定では日本企業に対し、合弁相手の中国企業への一定の技術譲渡を義務づけているが、前述の3社はそれを実行することはなかった

尖閣問題が原因で、中国での日本車の販売が大きく落ち込んだのは事実だ。
しかし、前述の3社がこれまでにとってきた保守的戦略が功を奏する時が来た。
さらに日中関係が悪化し、日本車メーカーが中国からの撤退を余儀なくされたとしても、
もともと中国を信用していなかったトヨタやホンダはいつでも中国と「離婚」できるよう準備をしていたからだ。
これらの企業は中国での投資分をすでに回収しており、たっぷり稼いで自分たちの技術はしっかりと守り通した完全な勝利者なのである。

20年に及んだ合弁政策で、中国の自動車メーカーはただ生産することだけを学んだ。
技術やブランド、製品から離れてしまった自動車メーカーは単にスクラップ置き場でしかない。
つまり未練があるのは日本の自動車メーカーではなく、中国の自動車メーカー側ということだ。



さて、ここでいう日産はというと、こういう記事がある。


レコードチャイナ 配信日時:2012年11月19日 1時8分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66579&type=0

合弁企業の東風日産、ボイコット恐れて「われわれは中国企業」と強調―中国メディア

2012年11月16日、中国の経済観察報(電子版)は、中国市場における日本車の販売状況が悪化しているなかで、日産自動車と中国の東風自動車の合弁企業・東風日産は積極的な経営戦略を展開していると報じた。

今年9月、トヨタやホンダの販売台数は10位以下に後退。
しかし日産は9位にとどまっていた。
だが10月にはその日産も10位以下に転落。
日本車全体のシェアも市場の10%以下に落ち込んだ。
多くの日系車ディーラーは今後の経営に対して悲観的であり、営業を停止する店舗も増えているなか、東風日産はまず消費者とディーラーの信頼を回復するため「損失ゼロ」キャンペーンを展開。
さらに、拡大する日本製品へのボイコット運動を回避するため、中国で商標登録を行い、中国政府に納税していることを根拠に、
「東風日産は中国本土化した企業である」
と主張。
「東風日産はグローバル企業であり、日産は仏ルノー傘下の企業」
だという点を全面的に打ち出した。

実際に広東省花都基地の東風日産の累計納税額は数百億元(数千億円)に達し、
2011年の生産額は1000億元(約1兆3000億円)で、130億元(約1700億円)を納税した。
この数字には流通過程で生じる取得税は含まれていない。
また2011年の東風日産の販売店やディーラーが納めた税金の総額は約300億元(約3900億円)に上っている。

東風日産はさらに完全な自社ブランドの新車を開発することで、中国の地方都市の市場を開拓し、先進技術の普及に努めて中国の自動車産業全体の技術力向上に貢献している。
こうしたなか、広東省仏山市の東風日産自動車販売店では最近、1週間で36台の販売契約を取りつけたことを祝う盛大なイベントを開催。
同店の代表は
「夜明け前の一番暗い時期は過ぎて、すでに明るくなってきた」
と話す。

また東風日産は、反日デモで被害に遭った販売店への補償も積極的に行い、販売店の従業員にも被害程度によって1人1万元(約13万円)から10万元(約130万円)の慰問金を給付。
燃やされた車両についてはすべて無償で新車と交換するとしている。


2011年の生産額は1000億元(約1兆3000億円)」
となると、この基地を抱える地方政府は危機に見舞われる。
税収の後退、失業者の増大、部品メーカーの倒産など。
これから、負の影響がさまざまな分野で出てくるだろう。

日産は約4割をフランス・ルノーが所有する会社。
つまり国際資本である。
日本はどうも最後の最後では中国というところを信用していないようである。
三菱自動車は韓国を信用していないというのもこの例に連なるだろう。
というよりも、三菱の事件を目の前にして、民族系の自動車会社は
「韓国よりもしたたかな中国」
というイメージを拭いさることができなかった、ということであろう。
自動車各社は中国に集中することなく、広く世界の市場を見据えて戦略を作っていくことになるようである。


レコードチャイナ 配信日時:2012年11月21日 0時45分

<尖閣問題>
ヒュンダイが奪った代理店=日系自動車メーカー、販売ルート喪失の危機―中国

 2012年11月19日、新京報は記事「日本ブランドの販売ルートが奪われる可能性も」を掲載した。 

 先日、北京市のトヨタ販売店が経営危機に陥ったとのニュースが話題になった。
 尖閣問題がどれだけ日本車の販売に影響を与えているかを象徴的に示す事件として受け止められた。
 こうした動きはほかにも広がっているようだ。 

 先週、ある自動車販売チェーンを取材したところ、経営危機に陥った販売店を傘下に加える意思があると話していた。
 日系自動車以外の販売店に転換させる方針だという。
 また、北京ヒュンダイの幹部は尖閣事件後、広東省を訪問。
 事件からわずか1カ月の間に、東風日産の販売店5店舗をヒュンダイ販売店に鞍替えさせたと胸を張った。 

 東風日産の関係者は社内通達はなく事実ではないと否定しつつも、水面下ではそうした動きが広がっている可能性もあると認めた。 

 小売市場の売れ行きそのものは回復しつつあるが、こうした販売ルートを奪われることによって日系自動車ブランドは新たな危機に陥る可能性もある。
 販売代理店の動揺が与える打撃は壊滅的なものになる可能性も考えられる。
 さらに中国企業との資本提携の変化など影響は多方面に波及すると考えられる。




【新・闇体制発足】



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