2012年11月21日水曜日

中国の対日経済制裁の効果は?

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●沖縄県尖閣諸島の国有化をきっかけに勃発した中国の反日デモから2カ月余。中国の景気減速もあって、不買運動に見舞われた自動車や家電を中心に日本企業の多くが深刻な影響を受けている。写真は北京市内の日本車販売店。




レコードチャイナ 配信日時:2012年11月21日 18時47分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66694&type=0

低迷の日本企業、尖閣諸島問題が与えた影響は?―中国メディア

 2012年11月21日、長年にわたり、中国は日本にとって最も重要な輸出国だったが、今年9月に釣魚島(尖閣諸島)事件をめぐって中日両国の関係は「氷点下」まで冷え込み、日本経済の業績が加速的に悪化した。
 自動車産業を例に取って考えてみる。
 中国汽車(自動車)工業協会がまとめた統計によると、日系自動車の10月の販売台数は9万8900台で、前月比38.22%減少し、前年同月比では59.41%減少した。
 10万台を割り込んだのは2009年以来のことだ。
 市場シェアをみると、初めて10%を割り込み、乗用車の販売台数は前月比4.55%低下の7.61%に落ち込んだ。
 国際金融報が伝えた。

釣魚島事件は日本企業にどれほどの影響を与えたのだろうか。

 北京正略鈞策企業管理諮詢有限公司の王丹青(ワン・ダンチン)パートナーによると、日本企業の中国にある工場の生産が影響を受け、一部の企業は生産能力が低下し、一時的に操業を停止したところもある。
 日本企業の中国での製品販売が大幅に減少し、その代表格は自動車と電子製品だ。
 こうしたことが日本企業の業績に深刻な影響を与えた。
 中国は日本にとって非常に重要な市場の1つであると同時に、企業の業績が生み出される場所でもあるため、影響は大きい。
 だがこれらの影響は突発的な事件が引き起こしたものであり、速やかに事件を処理することができれば、影響は徐々に小さくなっていくとみられる。

 経済学者の謝国忠(シエ・グゥオジョン)氏によると、日本の自動車産業は中国市場への投資が占める割合が22%に上る。
 よって当然のことながら、釣魚島(尖閣諸島)事件の発生後に自動車産業が被った損失は巨大なものになる。
 またその他の産業も中国で「寒風」にさらされており、日本の対中投資に巨額の損失が出ている。
 日本の今年下半期の業績は低迷しており、影響した要因の中には釣魚島(尖閣諸島)事件がある。
 事件は主要因ではないかもしれないが、日本経済の低迷を後押ししていることは確かだという。

 中国社会科学院(社会科学アカデミー)日本研究所経済研究室の張季風(ジャン・ジーフォン)主任によると、釣魚島(尖閣諸島)問題の影響は主に今年9月以降に出てきたものであり、現在まだデータがそろっていないため、すぐに判断を下すことはできない。
 とはいえ、メディアの伝える情報によると、影響は非常に大きいものと考えられる。

 南京大学商学院の宋頌興(ソン・ソンシン)教授によると、短期的には釣魚島(尖閣諸島)事件の影響があり、たとえば自動車工業の販売台数が目立って低下することが予想される。
 だが販売台数が落ち込んでいるのは中国で生産された自動車であり、日本国内への影響はすぐには顕在化しないとみられる。

 釣魚島(尖閣諸島)問題が日本に与えるマイナス影響はメディアが伝えるほど大きくはない。
 経済への影響は相互的なものであり、日本企業が影響を受けるということは、中国企業も同じように影響を受けるということだという。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/内山)


 いまいち、歯切れがよくない。
 日本はもっとダメージを受けてもいいのだが、ピンピンしている。
 ということは、経済影響が相互的だとすると、時がたつと中国側のダメージが目立ってくることになる。
 それは社会不安を呼び起こす。
 それはマズイ。
 日本よ、頼む、もっと弱ってくれ!
 そんなところかな。



レコードチャイナ 配信日時:2012年11月21日 19時32分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66689&type=0

「日本企業を手本に」、家電大手が総赤字でも侮れず―中国メディア

 2012年11月21日、日本企業の減益傾向が最近ますます顕著となっている。
 上半期年度報告書によると、3 月期決算の日本企業1258社のうち、3社に1社が減益を予測しており、減益規模は2008年ぶりの高水準になる。
 中でも百年以上の歴史を持つソニー、シャープ、松下の3大家電メーカーは軒並み赤字が継続する見込みで、
 「日本家電メーカー総崩れ」
と社会にショックを与えている。人民日報が伝えた。

 世界の製造業のトップに長く君臨してきた日本メーカーがなぜこのような苦境に陥ったのか?
 当然、これには客観的な原因がある。
 家電メーカーを例に挙げると、世界経済が不景気に陥る中、経営難は業界全体の問題となっている。
 これ以外に、東日本大震災、円高なども企業の収益能力に影響を与えている。

 しかし日本家電メーカーが軒並み赤字に陥ったことからは、より深いレベルの問題が見て取れる。
 かつて日本の家電メーカーの商品はオシャレ・高品質の象徴だった。
 しかし、今では市場の需要への対応が遅れ、製品の革新が市場の変化に追いつかなくなったことが大きな問題となっている。
 アナリストによると、
 「以前円高になった際、日本企業はウォークマンやビデオカメラなどのイノベーション商品を発売することでうまく切り抜けた。
 しかし今回の世界的な金融危機に対しては明らかに苦労している」
と分析する。

 もっとも日本企業は革新を重視していないわけではなく、むしろ非常に優れた革新文化と成熟した革新メカニズムを持っている。
 ソニーの2011年度の研究開発費はアップルを上回っている。
 しかし、消費者の目線からすると、日本企業の革新は明らかにその方向性に問題があるように見える。
 多くの革新はなお精密製造面での改良・革新にとどまっている。
 日本家電メーカーはノートパソコンのコストを抑え、重量を軽くし、パッケージをより美しくすることはできても、タッチパネル搭載PCのようなまったく新しい体験ができるような新しいものづくりができていない。
 現在の市場は電子製品に対する要求がますます高まっており、消費者は安さよりもデザイン性や個性を求めている。
 新鮮な使用体験は優れた耐久性よりはるかに消費者の心を引き付ける。

 「攻めるに易く守るに難し」のことわざ通り、市場需要変化の対応に遅れ、革新力が衰退してしまうことは、トップ企業が陥りやすい落とし穴なのだろう。
 革新によってトップ企業として地位を確立した後、企業は最少のコストで最大の利益をあげるという方向性に向かうが、そうなると新たな革新に向けて方向転換することは難しくなる。
 一方、新規参入者にとっては、新たなルートを切り開くことが権威に挑戦する唯一の方法であり、それが時に新たな市場需要の創造に成功することにつながる。

 しかし、日本企業の再生能力を見くびってはならない。
 日本企業は「腐っても鯛」で、世界に知られるグローバルブランドを持つ。
 優れた革新文化や革新の蓄積を持つ日本企業がただ黙って死を待つわけがなく、長年蓄積した技術力によっていつでも再生する可能性がある。
 日本企業が低迷しているからといって、日本企業がすでに「総崩れ」したと断言するのは時期尚早だ
 米アップルもかつてマイクロソフトに市場シェアを奪われ、苦戦を強いられていたことを忘れてはならない。
 企業努力を怠り、相手の失敗を待つだけなら、依然として戦いに勝つことは難しい。
 最近日本の自動車販売数が8万台以上減少してできたシェアを奪ったのは大多数が韓国車、フランス車、ドイツ車。
 中国の自動車メーカーはほんの少しの分け前にしかありつけていない。

 軒並み赤字に陥っている日本企業を前に、自分は大丈夫だろうと高をくくるのは禁物だ。
 ましてや人の不幸を喜ぶのはもってのほか。
 企業管理、革新能力のいずれにしても、中国企業は日本企業にまだ大きく後れを取っている。
 中国企業はむしろ日本を手本として市場に照準を合わせ、事業基盤を強化する必要がある。
(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/内山)





レコードチャイナ 配信日時:2012年11月21日 21時3分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66693&type=0

日本企業、中国を離れて低迷から抜け出せるか―中国メディア

 2012年11月21日、日本企業の業績発表の時期がやって来た。
 各社が業績を発表するのにともない、釣魚島(日本名:尖閣諸島)をめぐる茶番劇が引き起こした中日の緊張状態が日本企業の業績に与えた具体的な影響が次々と表面に浮かび上がってきた。
 日本の工作機械メーカーや自動車メーカーの一部が通年の利益予想を下方修正したのに続き、電子製品の2大大手とされる東芝とパナソニックもこのほど、2012年度の業績予想を下方修正することを相次いで明らかにした。
 ある統計によれば、今年10月1~30日に日本企業118社が12年度の売上高予想を下方修正し、うち90社は電気機械や自動車を主業務とする企業だった。
 事実を見渡すと、今回の茶番劇は日本企業の業績を低下させる触媒に過ぎず、かつての「日本企業神話」は今や後戻りできない消滅の道を歩いているといえる。国際金融報が伝えた。

日本企業はなぜ敗北した?

 1960年代から今世紀初頭にかけて、日本企業は細分化された産業システムや先進的な技術イノベーションによって、電子製品のあらゆる分野をほぼ手中に収めてきた。
 多くの国が一連の日本企業の管理モデルをお手本にしている。だが電子製品メーカーを代表とする日本企業の業績は低迷を続けている。
 米金融大手スタンダード&プアーズ(S&P)が日本に開設したソリューション提供部門のキャピタルIQがまとめた最新のデータによると、パナソニック、シャープ、ソニーの今年度の欠損額は合計37兆円(約460億ドル)に上り、過去18年間の利益の合計を上回るという。

 それでは日本企業が業績不振に陥った原因は何だろうか。
 中国や米国といった競争相手が手強すぎたのだろうか。長
 期にわたり低迷する日本経済が原因だろうか。
 昨年の東日本大震災のマイナス影響が引き続き拡大しているのだろうか。
 それとも日本企業自身に多くの問題があるのだろうか。

 北京正略鈞策企業管理諮詢有限公司の王丹青(ワン・ダンチン)パートナーによると、今年初めには日本企業の業績は相対的に回復していた。
 だが釣魚島(尖閣諸島)問題の波及やグローバル経済のさらなる低迷を受けて、業績は大幅に落ち込んだ。
 日本の重要企業の多くは今年の業績予想を下方修正し、史上まれに見る損失を発表したところもあるという。

 グローバル経済という大きな環境が日本企業の業績低下を決定づけた。
 競争相手についていえば、中国や韓国の企業は発展が速く、欧米の企業はたえず調整を行っており、こうしたことが日本企業の世界での競争力を徐々に衰退させた。
 競争力の低下は必然的に業績に影響を与えることになる。
 また1980年代以降、日本経済は谷間から抜け出せず、全体として不調で、日本企業の業績にマイナス影響を与えてきた。
 昨年3月11日に発生した地震は短期的にみると日本企業に壊滅的な影響を与えた。
 全体として、日本企業の業績の低下は、日本経済のモデル転換が遅れていること、自国市場が飽和状態にあること、国際市場での投資に頼って成長してきたことが主な要因だと考えられる。

 経済学者の謝国忠(シエ・グゥオジョン)氏によると、日本経済は金融危機以降、低迷から抜け出せないでいる。
 今年も業績は下がり続けており、非常に厳しい状況にあることがわかる。
 第1に、日本が得意としてきた電子産業やモバイルネットワーク分野の業績や収益が落ち込んでいる。
 第2に、国際市場をみると、自動車製造業は中国での業績が目立って低下している。
 韓国や中国に比べ、日本の競争力がこれまでほど強くなくなっていることは明らかだ。
 得意としてきた分野でのモデル転換に失敗したことも、日本経済の発展にとってはさらなるダメージだといえる。

 当然のことだが、日本企業の業績低迷は、これまでずっと依存してきた国際市場での投資の縮小と深い関係がある。
 海外投資の減少、製品輸出の低迷が、日本経済を冷え込ませてきた重要な要因だ。
 日本自身の総合的な国力が国際市場に与える影響力は経済力と釣り合っておらず、海外で拡張をはかる時代は過ぎ去ったといえる。

 南京大学商学院の宋頌興(ソン・ソンシン)教授によると、日本企業の業績低下は主に、従来より行われている経済調整がまだ終わっていないことが原因だという。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/内山)


 中国の対日経済制裁で、日本企業の中国離れが加速し、日本経済にダメージを十分にあたえられないことがわかり始めたので、少々中国のトーンがおかしくなってきている。
 中国は日本を窮地に陥れたと声高に宣伝しはじめている。
 日本企業の中国脱出という事態にあわて始めたという雰囲気である。
 経済制裁というのはスパンの長いものだ。
 それが日本にとって「吉」と出るか「凶」とでるかはまだ先のことである。
 同じように日本がダメージを食らったと同じ分ダメージを食らう中国にとってもこれも「吉」と出るか「凶」とでるかはまだ先のことである。
 繰り返すが、日本のダメージは経済分野のこと。
 企業が主要ターゲットを中国から別の地域に変えるとか、新たな技術商品を開発するとか、市場戦略を見直すとかする企業努力を促進することになり、それで終了するもの。
 中国市場は昨年時の半分、と見越して今後の対策を講じることになるだろう。
 それが歯車にのるまでは苦しいが、動き始めればルーチンワークに戻る。
 社会的政治的にはなんの問題も発生しない。

 だが、中国のダメージは違う。
 経済的ダメージは国がどうにでもできる。
 だが、工場閉鎖とか失業とかいったものは社会ダメージとなって現れる。
 それは社会不安となってキバが当局に向けられ政治ダメージとなってくる。
 これが中国にとってはコワイ。



レコードチャイナ 配信日時:2012年11月22日 7時2分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66683&type=0

<コラム・巨象を探る>
中国リスクが日本企業の経営を圧迫
=自動車、家電が深刻―それでも打開策探る

 沖縄県尖閣諸島の国有化をきっかけに勃発した中国の反日デモから2カ月余。
 中国の景気減速もあって、不買運動に見舞われた自動車や家電を中心に日本企業の多くが深刻な影響を受けている。
 日本からの2012年10月の中国向け自動車輸出は前年同月に比べ82%減。
 実に5分の1以下の水準だ。
 日本製品の不買運動が広がった影響がモロに出た。
 全産業における対中国輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支も全産業で4065億円の赤字となった。
 
 トヨタ自動車は、10月の中国での新車販売台数が前年同月比44%減の4万5600台に激減。 
 販売の低迷を受け、同社は10月に天津工場での生産を一部休止するなど現地生産を半減した。
 2012年のトヨタ自動車、日産自動車、ホンダ3社の中国での販売計画は前年比19%増の275万台。
 トヨタと日産がともに100万台、ホンダが 75万台の販売を見込んでいた。
 これに対し、トヨタと日産は各20万台程度、ホンダは10万台強、合計で50万台以上も下方修正した。
 このほか、マツダが 3割減、三菱自動車が4割減へ、販売見通しを引き下げた。

 中国経済減速と尖閣諸島問題が影を落とし、日本経済には逆風が吹いている。
 パナソニックの来年13年3月期業績予想は純損益が7650億円もの赤字と2年連続の巨額赤字に陥るほか、シャープも4500億円の赤字予想を発表。
 電機大手の9月中間決算では、8社のうち6社が1年前より売上高を減らし、純損益では4社が赤字となった。
 これまでの欧州向けの低迷に加え、中国向けの伸びも鈍化、薄型テレビから自動車部品、工業用ロボットまで幅広い品目で輸出が落ち込んだ。

▽業績下方修正が相次ぐ

 もともと今年前半からの、中国経済の急激な成長鈍化が重くのしかかっている
 コベルコ建機は主力の油圧ショベルの4割を中国で売ってきたが、12 年は中国での販売が3割ほど落ち込むと予測。
 日立建機は13年3月期の中国売上高見込みを45%減の744億円と、7月時点から半減となる水準に引き下げた。
 ファナックは中国で工作機械の減産が広がり、同期は三期ぶりに最終減益になる見込みだ。
 キヤノンは12年12月期の純利益見通しを下方修正し、一眼レフなどレンズ交換式カメラの販売計画を40万台引き下げた。
 このうち4分の1が中国の不買運動の影響という。

 海運業界も、13年3月期の業績予想を軒並み下方修正した。
 中国などからの輸出の積み荷が鈍り、運賃も下がると見込んだ。
 大企業に比べ堅調だった新興企業の業績に陰りが出始めた。

 新興企業への影響も深刻だ。
 ジャスダックと東証マザーズの2市場に上場する企業の2012年度上半期の連結経常利益の合計額は前年同期比5%増にとどまった。
 増益率は5%増と前年同期の21%から大きく落ち込んだ。
 中国の景気減速や国内景気低迷を背景に、製造業、非製造業ともに業績の伸びが鈍化している。

 中国リスクの影響が日本の各地域にじわじわと広がっているが、特に深刻なのが、自動車産業が集まっている東海地域。
 中国経済の減速で輸出が不振なのに加え、日中関係の悪化で、日本車の買い控えが深刻だ。
 
 銀行系シンクタンクは、このまま中国向け輸出が減れば、12年秋以降の半年間で日本の名目GDP成長率を0.4~0.5%下げる懸念があると予測する。

 7~9月期のGDPは、中国を中心とした輸出減退が響き、前期(4~6月期)比0.9%減、年率換算で3.5%減だった。
 マイナス成長は3四半期ぶりで、10~12月期も引き続きマイナスとなる可能性が高い。

▽「大きな消費市場」へ打開の道探る

 今後の日本企業の業績を左右するのは、中国との関係改善が進むかどうかだ。
 尖閣諸島問題の深刻化が具体的に響き始め、経営者らは不安を隠さない。
 しかし、「日本の消費が伸び悩む中、中国に活路を求めるしかない」と語る経営者も多い。
 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は
 「中国の集客力は徐々に回復しつつある。
 日中間には多くの共通の利益があり、関係は改善する。
 むしろ、生産能力は不足気味で計画は多少遅れているほどで、中国での現行計画に修正はない」
と意欲的だ。

 13億の人口を擁し隣り合う世界第二の経済国家・中国は消費マーケットとしてはまだまだ有望。
 政治的なリスクを抱えながらも、日本の製造業各社は打開の道を探っている。
<「コラム・巨象を探る」その19>

<「コラム・巨象を探る」はジャーナリスト八牧浩行(Record China社長・主筆)によるコラム記事>





レスポンス 2012年11月22日(木) 10時30分
http://response.jp/article/2012/11/22/185646.html

自動車の対中輸出額が82%減、日本車不買運動が影響…10月

 財務省が発表した10月の貿易統計(速報)によると、自動車、鉱物性燃料などの輸出が減少、輸入は原粗油、非鉄金属が減少し輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5490億円の赤字となった。

 貿易収支が赤字となるのは4カ月連続で、10月の赤字額は過去最大となった。

 輸出額は前年同月比6.5%減の5兆1500億円だった。
 輸入額は同1.6%減の5兆6990億円だった。

 自動車の輸出額は同12.3%減となった。 
 このうち、中国向け輸出は同82.0%減と大幅に落ち込んだ。
 尖閣諸島問題の影響で、中国での日本車の販売が落ち込んでいるため。
 小泉純一郎首相の時、靖国神社に参拝したことで中国で反日機運が高まり、日本車の販売が低迷した2001年10月の同88.3%減以来、11年ぶりのマイナス幅となった。
 自動車部品も同28.1%減となった。
 中国向け輸出の全体は同11.6%減となった。

 また、中国向け輸出の低迷でアジアの自動車輸出は同31.5%減となった。
 EU向けの輸出の自動車も同43.6%減と落ち込んだ
 米国向けは同4.8%増だった。



 自動車とて永久に中国が市場としてあるわけではない。
 早いスピードで中国は国産化を進めている。
 三菱は韓国に技術供与して、韓国はそれを自国のものにして世界に売りまくった。
 同じことが中国で起こるというのはこの業界の常識となっている。
 ために、民族系の日本の自動車会社は三菱の二の舞をこおむりたくないと、技術供与には消極的であり、中国市場を旨味のある市場とみるより、苦味のある市場と見ている。
 一方、フランス・ルノー資本が40%を占めるニッサンは積極的に中国に打って出て、中国政府の要求通りの技術供与をしている。
 このことは、近い将来、韓国とおなじことが中国でも起こるということになる。
 つまり、ニッサンの技術を習得した中国自動車が中国市場を抑えるようになり、そして世界に出ていくという構図である。
 そのとき、中国には日本車の姿は少なくなってきているはずである。
 ちょうど、韓国であまり日本車をみないのと同じような光景になる。
 自動車にとって、中国が市場としてあるのは、中国車が十分な技術をもって安価な費用で製造できるようになるまでの期間である。
 中国だって国内は自国製造の車を走らせたいと思うであろう。
 だが、いまは外国車との差が大きすぎる。
 だから、外国車を入れている。
 しかし、十分に技術を積めば外国車を締め出し、更には中国車のブランドを積極的に海外に売りまくっていくだろう。
 現代起亜の中身が三菱技術であるように、中国自動車の中身はニッサンということになるだろう。
 中国が市場として存在するのはそれまでの間である。
 あと数年なのか、10年なのか、しかし10年を超えることはないだろう。 
 自動車企業はそのことを頭に描いて戦略を練っている。
 中国市場の今後をどうみるかはニッサンと民族系では大きく異る。

 中国が日本にとって蜜の市場であるのは、中国が技術を自分のものとしてしまうまでの期間に過ぎない。
 家庭電化のシロモノはすでに、その期間を終わっている。
 中国へ輸出される品々の中国市場は急速に中国製品にとって代っていく。
 自動車もおそらく、中国の成長のスピードからいくと10年を超えることはない。
 日本に残されているのは、中枢技術の輸出である。
 韓国の自動車がいかに発展していても、そのエンジンコントロールの中枢技術は三菱が握っている。
 おそらく、中国自動車にもそういう形での日本技術の残留が見られるであろう。
 車何台のといった形での市場は日本から見て中国からは消えていくのではあるまいか。
 ソフト、言い換えると知的技術のロイヤリテーで稼ぐ時代に入っていくのではないだろうか。

 もし、車何台という形で残りたいなら、中進国での生産に切り替えることになるだろう。
 中国という国は勉強王国である。
 技術を自分のものにすることに熱心である。
 長い文化的歴史を持つものの強みであろう。
 日本は今回の事件があろうとなかろうと、中国の市場からはいつかは撤退せざるを得なかったのだと思う。
 戦後、日本はルノーとかヒルマンとか、あるいはアメ車だけだった。
 タクシーはルノーが初乗り60円、ヒルマンが70円であった。
 それが10年ほどで日本車に置き換えられていった。
 そんな時代を、今中国が経験している。
 今、外車は趣味としてしか日本では走っていない。
 20年もすれば、中国も国産車で溢れ、日本車は趣味的な所有になっていることと思う。
 そこには甘い市場は存在していない。








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